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2022年08月05日

街宣懇第10回総会を開催  ヤジ排除訴訟-表現の自由への侵害を正面から認めた歴史的判決

スクリーンショット (38)菅議長篠原先生藤木先生 2022年8月4日に、第10回総会を開催しました。コロナ感染の急拡大に伴い、会場とZoomの併用により、感染拡大防止策を講じた上で実施しました。参加者は会場25名、Zoom14名の計39名でした。
 今年の総会では、「札幌地裁判決「ヤジ排除訴訟」に学ぶ」をテーマに、弁護団の神保大地弁護士(さっぽろ法律事務所)にオンラインでの講師をしていただき、学習しました。2019年7月、札幌駅南口広場で参院選の応援演説中の安倍元首相に対して、市民2名が「アベやめろ」、「増税反対」などと発言したところ、警察官数名が有形力をもって原告らを排除しました。札幌地裁(廣瀬孝裁判長)は、2022年3月25日、「アベやめろ」などの原告の発言は、公共的・政治的事項に関する表現行為であり、警察官らの排除行為は表現の自由の侵害であると認めました。また、警察官らの執拗な付きまとい行為についても、移動・行動の自由、名誉権、プライバシー権の侵害であるとも認めました。民主主義社会における表現の自由の重要性を明示するとともに、警察官らの違法行為を抑止した歴史的判決です。全国的にも大々的に報じられましたが、北海道内での反響はさらに大きく、テレビではニュース速報が流れ、翌日の北海道新聞では1面・社会面・社説とオンパレードでした。いわゆるネット右翼を中心に、原告らのヤジが選挙の自由や街頭演説を聴く自由を侵害するものだとの批判がネット上で氾濫していました。廣瀬裁判長は、主文言い渡し後の要旨の告知において、「この判決を報道で知る人の中には、『原告らの行為は選挙の自由や街頭演説を聴く自由を侵害するのではないか』などと感じる方もおられるかもしれません。しかし、被告ですらそのような主張はしていなかったところです。本日はマスコミの方々も傍聴されているので、この点はぜひ強調させていただきたく思います。」と述べたのです。裁判所がマスコミへの警鐘と、ネット右翼に対して痛烈に批判することは極めて異例です。他方で、ネット右翼や自民党の一部の議員などからは、SNSなどで、安倍元首相の銃撃事件は札幌地裁判決による「萎縮」が原因だという声が出ています。神保弁護士は「道警は適法な警備と違法な警備をやったのに対して、奈良県警は適法な警備をやらなかったという違いである。札幌地裁判決を快く思っていない一部の「市民」が言っているだけで、政府や警察もそんなことを言っていない。萎縮したから適法な警備をしなかったなんて許されない。」と批判しました。「ヤジ排除判決」に対して北海道側が控訴し、まもなく控訴審が始まるようです。控訴審においても、表現の自由が守られる真っ当な判断を期待しています。市民が街頭で抗議の声をあげることは、表現の自由として保障されています。特に、市民が政治家とのコミュニケーションをとる機会が限られている中、政治家の演説に対して抗議することは、民主主義社会において重要な権利行使であり、警察権力を用いて封じ込めることは断じて許されません。
総会では、経過報告と活動方針・2022年度役員体制を確認しました。