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おおさか労働相談センター 困ったときの対策集
6)派遣、請負、パートタイマー、アルバイトなどの不安定労働者の権利

@ 労働契約、請負契約、業務委託契約のちがい


 最近使用者は、労働者を採用するときに、労働法のしばり(いわゆる雇用リスク)を避けるため、 労働者として雇うのでなく、請負や業務委託で契約しているケースが増えています。
労働契約と請負契約、業務委託契約とはどのような違いがあるのでしょうか。

 民法では、労働契約(民法では雇用契約という文言をつかっています)、請負契約、業務委託契約(民法では準委任契約という文言をつかっています)ははっきりと区別されています。   労働契約とは、契約の当事者の一方が 相手方に労務に服することを約束し、相手方がこれに対して報酬を支払うことを約束する契約のことです(民法623条)。
 つまり、労働契約の目的は労務の提供そのものにあります。 これに対して、請負契約は、仕事を完成させることを約束し、仕事の結果に対して 報酬をもらう契約で(民法632条)、業務委託契約は、法律行為以外の事務を行うことを受諾した者が 自分の責任・管理のもとで、その事務の処理を行うことを約束する契約です(民法656条)。
つまり、請負契約は仕事の完成が、業務委託契約は、まかされた事務の処理が目的となっているわけですから、労働契約とは異なり、労務の提供そのものは目的とはなりません。
このように、民法上は、契約の目的により区別されているわけですが、労働基準法ではこれに関係なく、使用者と「労働者に該当する者」とが結ぶ契約、すなわち労働契約について、定めるべき労働条件の最低基準を規律しています。
 労働基準法では「この法律で労働者とは職業の種類を問わず、事業または事務所 に使用される者で、賃金を支払われる者をいう」と定義されています。
したがって、 民法上の契約形態に関係なく、事業に使用され、賃金の支払いを受けているとみなさ れる者は、労働法による保護の対象となる労働者とされ、この労働者と結んだ契約は 労働契約になるわけです。
 そのため、個人と請負や業務委託と称する契約を結んだとしても、会社がその者を 指揮命令して労務に服させているなど 使用従属労働を行わせている場合には、労働契 約とみなされることになります。
 この場合には、使用者に対して、解雇についての予告の義務など労働法による各種 の義務が課せられるのはもちろんのこと、解雇についての解雇権の乱用の法理などの 各種の制約も受けることになります。
なお、労働基準法研究会・労働契約等法制部会労働者性検討専門部会報告(1996年)では、労働者性の判断基準として、
 @仕事の 依頼や業務従事で諾否の自由がない、
 A業務遂行について本人の裁量の余地があまり ない、
 B勤務時間について拘束される、
 C本人のかわりに他の者が労務提供すること が認められていない、
の4条件を満たす場合は労働基準法上の労働者としています。 
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A 派遣労働者の有給休暇



 私はコンピューター関係の派遣労働者ですが、派遣先職場での有給休暇がありません。
社員はみんな年休をとっていても私だけとれないのは納得いきません。
派遣労働者には年休がないのはおかしいと思いますが?


 派遣労働者の場合の有給休暇については、派遣元事業主との労働契約関係になりますから、 派遣元事業主に請求することになります。
その日数は派遣元との労働契約期間によって算出することとされます。
年休に関しては「使用者はその雇い入れの日から起算して、 6ヶ月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者にたいして、 継続し、または分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない」(労基法39条第1項)としています。
したがって、派遣先職場がかわったとしても、それらの出勤日数を合計して、年休日数を算出します。
 そして、年休を請求するのは派遣元事業主であり、 それによって派遣先の仕事に支障が出る場合の代替の労働者を派遣するかどうかは 派遣元と派遣先との契約できまります。
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B 派遣労働者の派遣先からの「解雇」


 一年契約で、今年7月末までの契約で仕事をしています。ところが3月末に理由も 聞かされず、派遣先の会社から「4月末で辞めてください」といわれました。
派遣元 の会社は他の職場を2件紹介してくれましたが、働く場所も今のところより遠く通勤 は不便で、賃金も今までよりかなり低いので断りました。
会社は「紹介したけどあな たが断ったのだから」とその後は何もしてくれず、とても困っています。
契約期間内 の補償などは請求できないのでしょうか?


 ひどい対応ですね。
4月末の解雇というのは派遣先での就労の終了日であって、 派遣元との雇用契約が終了するわけではありません。
派遣元との1年間の労働契約は継続していますから派遣先が雇用を打ち切ったからといって 派遣元との契約期間途中での一方的な解約はできません。
したがって、残りの期間について雇用の責任が継続し、労働者は今までの仕事と同等以上の仕事を確保させるか、 仕事がなくても残りの期間の賃金全額を請求できるのです。
とにかく、当初の約束通り7月末日まで、今の派遣先での仕事と同等以上の仕事をさせるよう求めて下さい。
条件の悪い仕事に無理に応じる必要はありません。
派遣元が同等の仕事を提供出来ないなら契約違反となり、賃金全額を損害賠償として請求することが可能です。
会社(派遣元)が、休業について平均賃金の60%を休業手当(労働基準法26条) として提示してくる場合もありますが、契約期間の雇用を確保できないのは派遣元の責任ですので、 7月末日までの賃金100%の支払いを求めてください。
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C 派遣先で仕事がなくなった場合の賃金保障


 派遣で金属関係の製造工場に朝8時半から夕方5時まで働いています。
実は昨日、原料の入荷がなかったために、3時に仕事を打ち切られ、今日も仕事がありません。
工場が原料代の支払いを滞らせているために、仕入先が出荷をストップさせたためです。
私の賃金は時間給で、工場は「働いた時間分の賃金は支払うが、働かない分まで支払えない」といいます。
工場のいうことも、もっともだと思いますが、私の賃金はどうなるのでしょうか。


 労働基準法第26条の休業手当の規定では、 労働者が「使用者の責に帰すべき事由」によって休業せざるを得なくなった場合、 使用者は「平均賃金」の6割以上の休業手当を支払うことに定められています。
労働基準法上の平均賃金というのは、月給制でない場合、 「過去3ヶ月に支払いを受 けた全賃金をその期間中の暦の日数で割った額」が1日の賃金額になります。
また使用者とは、派遣労働者の場合、派遣先でなく派遣元になります。
したがって、あなたは、3時以降の分が休業補償の対象ですから、平均賃金の6割に満たない場合はその差額の支払いを派遣元の会社に求めてください。
派遣元の会社は休業手当の支払い義務があります。
 明日も同じように休業がつづくなら、派遣元の会社に休業手当を要求してください。
休業手当の支払日は賃金の支払日です。
なお、一日の中途で休業になった場合は、その日の賃金が平均賃金の6割以上支払われるなら 休業手当を要求できません。
以上のことは、労働基準法上の労働者の権利です。
民法上では昨日の3時以降の賃 金相当分を含めて10割の賃金相当額を請求する権利(民法第536条第2項)があり ます。
賃金の6割の休業手当が支給された場合、あとの4割は民法上の権利を主張して 請求することができます。
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D 登録型派遣労働者の解雇


 私は登録型の派遣労働者ですが、派遣労働者、特に登録型だといつでも契約が打 ち切られるというように聞きました。
本当なのでしょうか。


 登録型であっても契約打ち切りに関しては、一般の派遣労働者と同じです。
そして、期間途中の契約の打ち切りは認められていません。 したがって、期間満了までのあいだ、派遣元は前の仕事と同等以上の派遣先を紹介するか、 賃金補償を求めることが出来ます。
しかし、登録型の場合は期間満了から次の派遣先が決まるまでの間の雇用契約はなく、 待機期間とされ賃金の補償がないのが普通です。
また、この度の労働基準法の改正(平成16年1月1日発効)によって、 「解雇は、客観的かつ合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、 その権利を濫用したものとして無効とする」(労働基準法第18条の2) となっています。
聞く限りでは、あなたに対する解雇は客観的に合理的な理由がなく、 解雇権の濫用と思われますので、引き続き就労を求めること、 あるいは残余の契約期間について別の事業所での就労を求めることができます
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E 「パート」とはどんな人のことですか


 正社員と30分しか勤務時間が短いだけなのに、 「パート」と呼ばれ、給料が低いだけでなく、ボーナスもありません。
「パート」とはどんな人のことをいうのでしょうか。
法律ではどうなっているんでしょうか?


 正社員とまったく同じ時間働いているのにパートと呼ばれる人もいますし、 正社員よりずっと短い時間働いているパートもいます。
パートと呼ばないけれど、同じように正社員とされていない人 (たとえば、アルバイト、臨時社員、嘱託社員、契約社員)もいます。
政府の統計では、「週の就労時間が35時間未満の労働者」をパートタイム労働者としています。 しかし、実際にはさまざまのパートタイマーがいて、一律にこうだといえない状況にあります。
 1993年に「パートタイム労働法」が制定され、 あわせて「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針」が施行されました。
この法律でいう「短時間労働者」とは、労働時間(会社が定めた働く時間のこと)が 同じ事業所に雇用される通常の労働者(正社員)の所定労働時間に比べて短い人をいいます。
パートであってもパートタイム労働法だけでなく、労働基準法が適用されます。
パート労働者に適用される法律には次のようなものがあります。 「最低賃金法」「労働安全衛生法」「男女雇用機会均等法」「労働者災害補償保険法」「労働組合法」その他、 雇用保険法など一定の条件を充たせば、労働保険や社会保険に関する法律も適用されます。
(それぞれの法律はインターネットで見られます)
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F パート労働者は社会保険に加入できないのですか


 パートで働いていますが、将来が不安です。
社会保険への加入は出来ないのでしょうか?


 「社会保険」には健康保険、厚生年金保険のみをさして使われる場合と、雇用保険、労災保険を加えて使われる場合があります。
原則として、法人(会社等)の事業所で働く人はすべて、健康保険と厚生年金保険に 加入しなければなりません。
パートタイマーが健康保険加入の対象となるかどうかは、 「一日または一週間の所定労働時間及び一ヶ月の所定労働日数が通常の労働者(正社 員)のおおむね四分の三以上ある者」となっており、この条件を満たせば健康保険お よび厚生年金に加入することになります。
健康保険と厚生年金はセット加入で、どち らか一方だけを希望して加入することはできません。
労災保険の対象となる労働者はすべての労働者であり、パートあるいはアルバイト として雇い入れられた者でも、当然、労災保険の対象となります。
保険料は全額事業主負担です。
たとえ事業主が加入手続きをしていない場合でも、労災保険の補償は行なわれることになっています。
雇用保険は雇用保険法に定める適用対象者用除外)のであれば、事業主は雇用保険 に加入しなければなりません。
パートかどうかに関係なく、週の所定労働時間が30時間以上であれば、一般被保険者となります。
週30時間未満であっても、次の要件を満たす場合は短時間労働被保険者となります。
 @ 一週間の所定労働時間が20時間以上であること。
  A契約期間が短いかどうかには関係なく、一年以上継続勤務の見込みがあること
なお、65歳以降に新たに雇用される方は雇用保険の被保険者にはなりませんので注意が必要です。
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G パートの賃金と税金の関係はどうなっていますか?


 パートで働いていますが、会社から「勤務時間を長くしてもらえないか」といわれ ています。
しかし、夫は「扶養家族からはずれたらソンだ」といいます。
パートタイマーと税金の関係はどうなっているのでしょうか。


 現在の税制のもとでは、本人の年収が一定額を超えると、   @本人への課税、
 Aその配偶者が受けている配偶者控除および配偶者特別控除が受けられなくなり、 配偶者の課税額が増えることになります。
さらに、B配偶者の勤務先に家族手当や扶養手当制度がある場合、 就業規則等で手当が受けられなくなる場合もあります。 パートタイマー本人の収入によっては、本人の賃金に税金が課税され、 配偶者の課税額も増え、結果として収入が減少するという場合が出てきます。

配偶者控除・配偶者特別控除
 パートタイマーとして働いた本人の年収が103万円以下の場合、配偶者の所得から配偶者控除(所得税38万円、住民税33万円)が受けられます。また、パートタイマーとして働いた本人の年収が141万円未満で配偶者の合計所得金額が1000万円以下の場合は、配偶者の所得から配偶者特別控除が受けられます。

パート収入と税金

パートタイム労働者の年収

本人の税金

配偶者の所得控除

所得税

住民税

配偶者控除

配偶者特別控除

所得割

均等割

所得税

住民税

所得税

住民税

100万円以下

かからない

かからない

受けられる

受けられない

100万円を超え103万円未満

かかる

103万円

104万円を超え141万円未満

かかる

受けられない

受けられる

141万円以上

受けられない


(注)
  • この表は一例(大阪市の場合)です。
  • 本人に税金が「かかる」「かからない」については、所得控除が基礎控除のみであるとして作成しています。
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H パートタイマーの賃金、勝手に下げられるか


 中堅クラスの商社でパートとして働きはじめて1年になりますが、 会社は売上げの低下を理由に、先月からパートみんなの時給を30円下げてきました。
  一応通知はありましたが、みんなも納得せず、会社にそのことを言いましたが聞き入れてくれません。
 会社の利益が下がれば、給料が下がるのも仕方がないと、あきらめなければならないのでしょうか?
この会社には労働組合はありません。


 会社の儲けが下がったからと、賃金を下げるなどとんでもないことです。あなたは今の会社に採用されるとき、労働条件通知書(または雇入通知書)をもらっているはずです(パート労働法6条により事業主に義務付けられています)。
あなたはそれに書かれている労働条件で会社と雇用契約を結んだのです。
雇用契約の内容を変更するためには、契約の当事者(あなたと会社)双方の同意と納得が必要です。
特に賃金などの基本的労働条件の一方的な引き下げは、たとえ会社が苦しくても簡単には出来ません。
会社に申し入れたにもかかわらず聞き入れられない場合には、今回だけでなく今後も労働条件の一方的な不利益変更の可能性があると思われますので労働組合を結成するか、一人でも入れる労働組合に入って会社と交渉するのがいいと思われます。
いろいろな労働組合があり、いづれもパート労働者でも、一人でも入れますが、あなたの会社と同じ業種の労働組合の方が同業種としての労働条件の比較や産業別の要求実現からいっても有利です。
また、大阪の各地域には行政区別に大阪労連の地域組織、地域労組があります。
気軽に相談してみてください。
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I パートタイマーの雇止め


 私は契約期間3カ月のパートタイマーとして働いています。 何度も更新を繰り返し、勤続3年をこえました。
ところが社長から「今年4月以降は契約更新をしない」と言われました。
まだ働きたいのですが辞めなければならないのでしょうか。


 あなたのように、期間の定めのある労働契約が長期間反復更新されてきた場合、 次の契約更新を使用者が拒否したときに、その契約更新拒否が解雇になるのか、 あくまでも契約期間の満了であり解雇ではないと解されるかは、 問題のあるところですが、判例では、契約更新を何度も契約更新をしている場合、 また更新時に引き続いて働けるという期待がある場合(その仕事がまだ継続してあるなど)、 契約更新拒否は、解雇であると考えられています。
 したがって、期間の定めのある契約(有期契約)によって 雇用されたパートタイム労働者やアルバイトの契約が反復更新され、 実質上期間の定めのない契約と異ならない状況になった後の契約更新の拒否(雇い止め)については、 労働基準法上の解雇制限および解雇予告並びに解雇権濫用の法律適用を受けます。
 お尋ねの場合は、他の事情も考慮しなければなりませんが、 数年前から労働契約が反復更新されてきたことから、 実質的には期間の定めのない労働契約と同一に取り扱うべきもので、 契約終了は解雇であると考えられます。
ですから、解雇についての客観的、合理的な理由がなければ解雇はできません。
たとえ解雇が成立する場合でも、30日前までの解雇予告または30日分以上の解雇予告手当の支払が必要です。
 したがって、契約終了で辞める必要はありませんので、 使用者に対し「辞めません」とはっきりいって話し合うことが必要です。
話し合っても解決しないような場合は労働組合があれば労働組合に相談し、 労働組合のない場合には一人でも入れる労働組合に加入し、 会社が不当に一方的な手段をとることのないよう、早急に話し合いを求める事をおすすめします。

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J パートタイマーの有給休暇


 私は現在、近くのスーパーマーケットで時間給のパートで働いていますが、働く時間は私の都合で1日3時間、1週のうち3日間だけです。
事業主はこの時間数では有給休暇は無いと言っていますが、本当でしょうか? 


年次有給休暇は雇用形態にかかわらずすべての労働者に適用されます。
労働基準法は、「使用者は、その雇い入れの日から起算して6ヶ月間継続勤務し、 全労働日の8割以上出勤した労働者に対し、 継続し、または、分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない」(38条)としています。
短時間労働のパートタイマーにも基本的にこの規定が適用され、所定労働日数に応じて比例付与されます。
週4日以下の労働者や週以外の期間によって所定労働日数が定められている場合は、 1年間の所定労働日数が216日以下の労働者については、10日でなく比例付与日数となります。 (平成11年4月1日改正の労働基準法で、2年間に限り猶予措置がとられ、 勤続年数4年6ヶ月以上の場合には、付与日数が1日ないし2日増加することになっています)。  
年次有給休暇付与日数

適用期間

短時間労働者の週所定労働時間

雇い入れの日から起算した継続勤務期間の区分に応ずる年次有給の休暇日数

短時間労働者の週所定労働日数

短時間労働者の1年間の所定労働日数(週以外の期間によって労働日数が定められている場合)

6か月

1年6か月

2年6か月

3年6か月

4年6か月

5年6か月

6年6か月以上

2001年4月1日以降

30時間以上

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

30時間未満

5日以上

217日以上

4日

169日から216日まで

7日

8日

9日

10日

12日

13日

15日

3日

121日から168日まで

5日

6日

6日

7日

9日

10日

11日

2日

73日から120日まで

3日

4日

4日

5日

6日

6日

7日

1日

48日から 72日まで

1日

2日

2日

2日

3日

3日

3日

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K 週1回のパートで解雇予告手当は?


 私はある衣料品店で日曜だけパートとして働いていました(日給5、000円)。
過日、私は顧客とのトラブルが原因で 即日解雇になり、私もかねてより機会をみつけて 辞めたいと思っていたやさきでしたので、渡りに船のようなかたちで解雇をうけいれました。
そのとき、解雇予告手当として 20、000円を支払ってくれました。
解雇予告手当というのはそんな程度のものでしょうか。


 雇主が労働者を解雇しようとするときは、30日前までに解雇の予告をするか、解雇予告手当を支払わなくてはなりません。解雇予告手当は「30日分以上」と定められています。それは解雇の通告を少なくとも30日以前に行うべきところを行わなかったことに替わるもので、したがってあなたのように即日解雇の場合は「30日分以上」の解雇予告手当を請求する権利があります。
 ただし、「30日分以上」ということは「30日分以上の平均賃金」(労働基準法第20条)という意味で、「平均賃金」ということは「算定すべき事由の発生した日以前3ヶ月間にその労働者にたいして支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額」(同法第12条)です。
 したがって、「解雇になった日以前(解雇になった日を含めて)3ヶ月のあいだに支払いを受けた賃金」を「その3ヶ月間の暦日数」で割った金額の30倍以上であれば、一応労働基準法どおりの解雇予告手当といえます。
 あなたの場合、計算してみますと、例えば9月のある日曜日に解雇を言われた場合、過去3ヶ月の暦日数は92日、その間に日曜日は13回ありますから賃金は65、000円、したがって、解雇予告手当は以下のようになります。
 単純な1日あたりの平均賃金はこの3ヶ月の賃金総額65000円をその間の暦日である92日で除した金額、70652円ということになります。
 これに対して、労基法第12条1項1号にいう平均賃金、すなわち「賃金総額をその期間中に労働した金額の100分の60」は、賃金総額である65000円を労働日である13日で除した金額である5000円ということになります。この場合、前記「単純な1日あたりの平均賃金」は5000円の100分の60を下回ってはいけないとされていますので、労基法の強行的・直律的効力(労基法13条)により、単純な平均賃金でなく5000円の100分の60である「3000円」をその算定基礎とすることになります。
したがって、この3000円の30日分以上である90000円以上が解雇予告手当てということになります。
 正しい計算方法を示して差額を請求して下さい。
しかし、重要な事はあなたの賃金の日額が最低賃金法で定めている時間給(各種商品小売業の場合 754円【06年11月末以降】〉)より低い額に なっていることです。
ぜひとも、近くの労働組合に相談して、過去にさかのぼって(最長で2年・同法第115条)賃金を是正させ、あわせて解雇予告手当も増額させることが必要です。
なお、解雇予告手当は解雇を通告するのと同時に支払うことになっています。
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