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おおさか労働相談センター 困ったときの対策集
1)解雇または解雇されそうになったとき

@解雇についての法律が変わりました


先日、社長に呼び出されて、来月末付で解雇するといわれました。理由を聞くと、あいまいで納得できるものではありません。2004年から解雇についての法律が変ったと聞きましたが、どうなったのでしょうか。


そうです、解雇については、これまで、労働基準法第19条(解雇制限)「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間並びに産前産後の女性が第65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない」があります。
また、第20条(解雇の予告)「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。 30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない」と、予告と予告手当について規定されています。  今回、同法第18条の2(解雇)の内容は「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」となっていた条項が、労働契約法第16条に移されました。
また、「就業規則」に「退職に関する事項」として、「解雇の事由」を記載するとともに、労働者が解雇の予告をされた日から退職の日までの間に、解雇の理由を記した証明書を請求した場合には文書でそれを交付しなければならないことになっています。(労基法第22条) 従って、あなたの場合、まず理由を記した証明書を請求することです。 その理由が就業規則に記載されているかどうかを確かめなければなりません。そして、その理由が「客観的合理的であるか、社会通念上相当かどうか」を確認することが必要です。
しかし、この判断は事業主と争わなければならないケースがでてきます。また、この労働契約法第16条には、罰則規定がありません。 これに違反しているからといって、事業主は罰せられません。    
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A採用内定取消



採用内定を取り消されたがやむをえないのか


採用内定により労働契約は成立しており、内定取消には制限がります。労働契約の申し込み・承諾は口頭でも成立するのであって、「内々定」も法的には「内定」=労働契約の成立と評価できる場合が多い。 企業による内定取消は、すでに成立した労働契約の一方的解約(解雇)であり、採用内定取消が適法と認められるのは、「採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できない」事実が後で判明し、しかも、それによって採用内定を取り消すことが「客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認できる」場合に限られます。(大日本印刷事件最高裁判決)
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B懲戒解雇といわれたが・・・



私の会社では、少しのミスでも「懲戒解雇にするぞ」と社長が怒鳴ります。就業規則に、企業秩序に違反した場合には懲戒処分として解雇される場合があると書いてあると聞きました。
しかし、会社から具体的な説明を受けたわけでもなく、よくわかりません。どのような場合に懲戒解雇となるのでしょうか。


就業規則などに定められている一般的な懲戒処分の種類は、「けん責」「戒告」「昇給停止」「減給」「降職」「出勤停止」「諭旨解雇」「懲戒解雇」などの種類があり、その中で最も重い処分が「懲戒解雇」です。つまり、懲戒解雇というのは、服務規律違反等、労働者の企業秩序に違反する行為などに対し、使用者によって課せられる制裁罰とされています。   しかし、懲戒解雇が、使用者による制裁罰だからといって、使用者が自由勝手に行えるというわけではありません。法律では、使用者が懲戒解雇を含む懲戒処分について定めようとする場合は、その種類や程度に関する事項を就業規則で定めることを義務付けており【労働基準法第89条第9号】、就業規則にそうした定めがなければ、懲戒処分(懲戒解雇)を行うことができないとする判例も多くあります。懲戒解雇を通告され、その通告が納得できない場合には、懲戒権の根拠(就業規則の規定)と懲戒理由(どの規定に該当するどのような事実があったのか)を明らかにさせることが大切です。また、「他の人の場合や前例はどのようになっているのか」「本人に弁明の機会を与えるなどの必要な手続きを経ているのかどうか」などの点について、一つずつ確認した上で使用者と交渉していくことが必要になります。   なお、懲戒解雇事由としては、経歴詐称、職務懈怠(しょくむけたい) 、職務命令違反、職場規律違反、私生活上の非行などがあります。ただし、それはその解雇が「社会通念上相当」であると認められる程度のもの(労働契約法16条)に限られています。今回のご相談のような、少しのミスで懲戒解雇処分にはできないでしょう。
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C 営業成績が目標に達せず解雇


 中堅の商社で営業の仕事をしています。うちの会社は以前から売上に対する目標管理が厳しく、月目標、週目標が決められ、それが達成されないと、きびしく追及されてきました。不況がつづき目標が達成されない週が多くなって、先日、上司から「あなたはチームの中で一番成績が悪いから辞めてもらう」といわれました。このような解雇は仕方ないのでしょうか?


先ず、上司から「解雇」をほのめかされているようですが、それは会社の意向なのか、それとも上司の単独の判断なのか、「解雇の通告」なのか「退職勧奨」なのかを確認することが必要です。
 また、「解雇」といわれているところをみると、その会社とは雇用関係を結んでおり、売上に応じて手数料を受取るような請負契約ではないようですね。そうすると、解雇にかかわる労働法の諸規定(労基法18条の2など)が適用されなければなりません。 懲戒解雇でない普通解雇の場合でも、「客観的・合理的な理由」がなければ解雇権の濫 用となります。勤務成績不良、能力の欠如があったとしても、その原因が本人の責によるものかどうか、評価は適正か、改善・向上の見込みがないか、改善のための指導や教育が十分されたか、などが使用者に問われます。
 そして、基本的には、解雇しなければ会社に対して相当な損害を与えるものかが問われます。 さらに、就業規則にそのことが明記されていなければなりません。もっとも、就業規則に「売上成績不良の場合は解雇」とある場合もそれだけでは解雇理由にはなりませんので、就業規則のその部分は無効です。 あなたの場合、成績不良のようですが、勤務態度不良などあなた自身の責というより、 一般的な不況の状況やあなたの担当地域(企業)の状況などから、売上不振の原因がどこ にあるのかをよく吟味し、自分にたいする解雇は「客観的に合理的な理由を欠いたもので社会通念上認められず(労働契約法16条)」認められないことをはっきりいうべきです。
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D解雇なのに「自己都合退職」にされた


印刷関係の会社に勤めて5年少しになる48歳の男性です。
ここ数年業績が悪くて来月いっぱいで辞めてくれと言われました。「解雇ですか」と聞くと「解雇だ、退職届を書いてくれ」と社長にいわれ、やむを得ず退職届を書き、辞めました。
 ところが送られてきた離職票には「自己都合」と書かれており、納得がいかず会社に抗議しましたが「辞めてくれとは言ったが、解雇とは言った覚えがない」といって取り合ってくれません。
解雇は了承したのですが自己都合で辞めたわけではありません。どうしたらいいでしょうか。


 最近よくこのようなケースが増えています。
会社は、解雇でありながら自己都合として処理したい何らかの理由があるのでしょう。どちらにしても「自己都合」にされますと失業給付も少なくなりますし、待機期間も長くなり不利になります。あなたの場合は雇用保険の被保険者期間が「5年以上10年未満」に該当しますから解雇扱いの場合は240日の給付が受けられますが、自己都合ですと90日となり、半分以下になります。待機期間も自己都合では7日間の経過後、さらに3ヶ月間となります。
 解雇など会社都合なら7日間経過後、支給が開始されます。このように、自己都合退職と解雇による退職とは大きな違いがあります。対応としては、会社から離職票を受け取り離職理由を再確認して間違っている場合は離職票の書き直しを求めて下さい。会社が解雇であることを認めず、離職票の訂正にも応じない場合は離職票の本人記入欄に異議ありの意思表示を記入すると共に職業安定所(ハローワーク)に申し出て会社への指導を求めて下さい。その場合何か事業所の都合であることを証明する証拠書類等があれば持参して下さい。
  5)-@ 雇用保険制度の項参照してください。
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E整理解雇の四要件とは


 社長から「会社の経営状態がよくないので事業を縮小する。
どこか違う仕事を探してくれ」といわれ、一ヵ月後に解雇すると通告されました。
諦めなくてならないのでしょうか。


 解雇とは、使用者が労働契約を一方的に解除することです。
解雇は法の規定に違反しなければ自由にできるものではなく労働者保護の観点から制限があります。この質問のような経営不振などを理由とする解雇を整理解雇といいます。最高裁の判例では、整理解雇の理由の正当性を判断する基準として、@解雇の客観的な必要性があるか、
A希望退職の募集など、会社の解雇回避の努力がなされたか、
B人員整理基準が合理的かつ公平で、人選も合理的であるか、
C労働者に十分説明し、納得を得る努力をしたか、など四つの要件が必要であるとしています。 労働時間の短縮、新規採用の停止、配置転換や出向、希望退職の募集など解雇しなくてもとりうる手段があるのに、それらを活用せず、いきなり指名解雇をした場合は、解雇回避の努力を尽くしていないことになります。特に、希望退職の募集をせず、いきなり指名解雇をした場合は解雇回避の努力義務を尽くしていないことになります。また、使用者は労働者に対し整理解雇の必要性とその内容について納得を得るための説明を誠意をもって行うことを義務づけています。
四要件をすべて満たさない整理解雇は、解雇権の濫用となり法的に無効となります。つまり、整理解雇であっても、使用者が客観的に合理的な理由なく解雇権を行使した場合は、権利の濫用となり、その解雇は無効であるとみなされます。
 現在、多くの中小零細企業で企業経営がきびしく、整理解雇の四要件を満たさない不当な解雇が多発しています。あなたの場合も、整理解雇の四要件を満たしていないと思われますので、まず会社に対し、「辞めません」とはっきりいうことが大切です。そして、労働組合があれば労働組合に相談し、労働組合のない場合には一人でも入れる労働組合に加入し、会社が不当に一方的な手段をとることのないよう、早急に話し合いを求める事をおすすめします。
また、弁護士に相談しアドバイスを求めることも有効です。
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F試用期間満了の解雇


 今年4月に採用され、3ヶ月は試用期間だといわれました。はり切って仕事をしていました。
ところが6月中旬になって、あなたはうちの会社の仕事に合わないから本採用は出来ないといわれました。別にミスをしたわけでなく、仕事は楽しく、私に合わないとは思ってはいません。
本当の理由は、会社の経営が思わしくなくなったので、人をこれ以上増やしたくないのが理由のようです。こんな不採用はどうしても納得いきません。


 試用期間中の雇用契約の性質は、通常、当初から期間の定めのない労働契約として成立していますが、試用期間中の労働者の勤務状態などにより、能力・適確性が判断され、雇用を継続することが適当でない場合は、解雇または本採用拒否という方法で解約権(留保付解約権)が行使されます。
 したがって、その解約権の行使は、通常の解雇の場合よりも広い範囲の自由が認められたものです。
 しかし、この「留保付解約権」は客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上も相当と認められる場合のみ、許されます。「企業が、採用決定後における調査の結果により、または、試用期間中の勤務状態などにより、当初知ることができないような事実を知るに至った場合、そのような事実に照らしてその者を引きつづき当該企業に雇用しておくのが適当でないと判断することが相当である場合」にのみ許される(昭48.12.12最高裁判決)としています。 例としては、「経歴・学歴詐称」や「業務の習得に熱意がなく、上司の指示に従わず、いちじるしく協調性に乏しい」場合、解雇を認めた判例があります。
 また、試用期間中に労働組合に加入したり、政治活動を行った事を理由とする本採用拒否は不当労働行為にあたり無効です。  最近の判例では、不況を理由とした場合でも「それを予見できなかった責任は会社側に」あるとし、内定取消しにあたっても「整理解雇の四要件」を満たさなければならない、としています。 あなたの場合は、まず解雇理由の具体的な中身を書面ではっきり求めることが大事です。
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G辞めさせてもらえない


 私は、営業社員として3年働きましたが、上司と仕事の進め方で意見が合わず、退職を申し出ました。
 しかし、会社側は「そんな勝手なことを言ってもらっても困る。売掛金もこんなに残っている。辞めることは認められない」と退職願を受け取りませんでした。どうしたら辞められるのでしょうか。


 雇用契約を終了させたいというご相談ですが、基本的に、労働者には職業選択の自由があり、退職の自由があります。
「辞めることは認められない」とのことですが、それは拘束されるものではなく、振り切って退職することは自由であり可能です。
 契約期間のさだめのない雇用の場合、民法第627条の規定によると、労働者側が雇用契約の解約を申し入れた場合には、原則として解約申入れ後2週間を経過したときに雇用契約は自動的に終了します。つまり、労働者が使用者に退職を申し出た後、所定の期間を経過することにより、退職が成立するということになります。
 ですから、就業規則等で「一ヶ月前に届けること」や「会社の承認を得なければならない」などと定めていても法律が優先しますので無効といえます。
また、契約期間のさだめのある雇用の場合でも、「やむを得ざる理由がある場合には直ちに契約を解除できる(民法628条)」としています。
場合によっては、使用者から損害賠償を求められる場合もありますので、このことを念頭に改めて会社に退職の申し出を行い、よく話し合ってください。退職願は合意解約申入であり、退職届は一方的解約通知、という考えもありますので、退職する日を明記して「退職届」の形で出すほうがより確実でしょう。
退職届を受け取ってもらえない場合は内容証明郵便などで送るとよいと思われます。
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H突然 「辞めてくれ」といわれたが・・・


 飲食店に勤めて4年になります。
今日、店長から「最近お客が減ってきているので、今月いっぱいで辞めてもらえないか」と、突然告げられました。その時は頭の中が真っ白になり、混乱して何も言えず帰ってきました。ショックで仕事に行く気が起こりません。
このまま黙って解雇になるしかないのでしょうか。


 話の内容では解雇通告でなくあなたに退職を勧める退職勧奨と思われます。労働者が退職勧奨に応じるかどうかは労働者の自主判断ですので、辞める意思がなければ応じる必要はありません。辞める意思がないわけですから、店長に「辞める意思はありません」とはっきりと伝えることが大切です。解雇とは一般的には会社の責任ある立場にあるものから「〇月〇日付けで解雇する」と、明確に労働契約を解除する旨の通告がなされることです。 「あなたはもういらない」とか「辞めてほしい」などの発言は、『解雇のほのめかし』、あるいは、『退職を勧めるもの』です。応じるか応じないかは労働者の自由であり、辞める意思がなければ応じる必要がないものです。
気まずいかもしれませんが、直接の上司などが解雇をほのめかしてきた場合には、まず、「それは真に会社の責任あるものの通告かどうか」「発言の趣旨は退職勧奨なのか解雇通告なのか」を確認することが必要です。また確認しないままに深く考えないで「わかりました」などと返答すると「了解した」ものと受け取られてしまうおそれがあるため注意が必要です。
 このケースで、店長の言ったことが解雇通告であったとしても「お客が少なくなった」という理由だけでは、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」(労基法18条の2)に当たり、解雇はできません。
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